2018/08/21

リハビリマシン導入時の悩み『設置スペース』について考えよう
導入・設置

「どんなマシン・機器を、どこに何台配置すればいいのか?」。施設スタッフや経営者様にとって、リハビリマシン・機器の導入時に問題となるのが『設置スペース』ではないでしょうか。 弊社でもよくお問い合わせいただく内容のひとつです。

今回は、導入時に抑えておきたい『設置スペース』の考え方についてご紹介します。

まずは『リハビリの目的』を明確に!

まず明確にしたいのが、『リハビリに取り組む目的』です。
「ご利用者様をどのような状態にして差し上げたいのか」「ご利用者様にどんな特徴をもつリハビリやトレーニングをご提供したいのか」ということですね。

まずはこの目的について、施設内や関与スタッフ間でしっかりと共有・設定することが、リハビリマシンを選定する大きなポイントとなります。

歩行に特化したリハビリを目的とする場合
例えば“歩行”に特化したリハビリをご提供したい場合、下肢筋力のトレーニングが不可欠です。

そのため、レッグプレスやレッグカール、ヒップアダクションなど下半身強化をメインとするリハビリマシンを中心に導入を検討します。さらに、ご利用者様の歩行の変化(改善)をモニタリングできるようNEC歩行計測システムを組み合わせるのも一案です。

これだけ揃えば、ひと通りの“下肢筋力強化トレーニング”がご提供できます。

次に『スペースはどのくらい割けるか?』をチェック!

次に確認したいのが、設置スペースの広さ。
リハビリマシンのサイズは、種類に応じて大小さまざまです。施設側にとっては目的に応じたマシン・機器を選定しつつ、それらを限られたスペース内にうまく納めなくてはなりません。

特に重量・サイズとも大きなリハビリマシン・機器(おもりを使うタイプ等)を設置する場合、設置時はもちろん、設置後のスペース内、施設内の移動も容易ではないため、慎重に検討したいところです。

場合によっては広さの制限がネックとなり、目的とするトレーニングをすべて網羅できない可能性もあります。

その際はスペースを2か所に割り振ることも視野に入れつつ、目的に応じた最適な設置方法となるよう、早い段階からメーカーや専門家へ相談しましょう。

最後に『リハビリマシンの配置順』を検討

お客様の設置スペースの状況にもよりますが、弊社ではできる限り “下肢の筋肉”を鍛えるリハビリマシンを並べて設置するようご提案いたします。

理想的な順番は以下です。

レッグプレス:椅子からの立ち上がりなどに必要な筋肉をリハビリ・トレーニング


レッグカール: ひざ関節の動きをスムーズに。日常生活での歩行能力を改善


アブドミナルバック: 腹筋、背筋群を効率よくトレーニング。姿勢改善にも


チェストプレス: 胸部、上腕部の筋力と可動域を改善


ショルダープレス: 肩や上腕を効果的にトレーニング。腕を上げる筋力と可動域を改善


ツイスター: 身体を左右にひねって体幹の筋力と柔軟性を向上



大きい筋肉を鍛えると、周辺の小さな筋肉も同時に鍛えることができるため、弊社では身体の中で一番大きな筋肉である大腿四頭筋を最初に鍛えるリハビリメニューを推奨しています。

トレーニング部位の順番としては・・・

大腿四頭筋⇒大腿筋膜張筋⇒内・外転筋群⇒腹直筋⇒大胸筋⇒三角筋⇒広背筋 という感じでしょうか。


トレーニング部位が、下肢を起点に上へ上へとあがっていくイメージです。

事例01:スタッフの目が届きやすく、外からも活動が見える配置に

では、実際の事例をご紹介します。

事例01の施設様は、「ご利用者様の歩行能力の改善・維持」が取り組みコンセプト。
そのため弊社では、下肢の筋力と体幹を鍛えるリハビリマシン・機器を中心に、腕ふりのトレーニングにより持久力を付けるリカンベントバイクを併せてご提案いたしました。

広々とした窓際にリハビリマシン・機器を配置することで、施設スタッフ様の目が届きやすいよう配慮。マシンの後ろは窓ガラスのため、トレーニングに励むご利用者様の活気あふれる姿を外から見てもらうこともでき、施設の特色を知ってもらうきっかけになります。

弊社のリハビリマシンが、「デイサービスにありがちな閉鎖的なイメージを払拭し、高齢者の皆さんが集い元気に運動する施設というコンセプトに合う」という理由から、導入を決めていただきました。
現在、同施設では総合事業や地域の方々の運動施設としての役割も担い、連日多くのご利用者様でにぎわっているとのことです。

リハビリマシン配置のポイントをおさらい!
●スタッフの目が届きやすいよう、窓際一列に配置
●外からも、窓ガラス越しにトレーニングの様子が見てもらえる状態を意識

事例02:楽しくトレーニングできるよう、サーキットトレーニングを導入

事例02の施設様は、ゆとりとある設置スペースが特徴でした。


広さと比例して施設ご利用者様の人数も非常に多いことから、「リハビリマシンの待ち時間をできる限り少なくする」かつ「全身を鍛えることができる」、この2点に配慮し、導入・設置をご提案いたしました。

ポイントは『サーキットトレーニング』を取り入れた点です。
壁側にアブドミナルバック・ヒップアダクション・レッグカール・レッグプレスを4台、向かい合わせにチェストプレス・ショルダーブレス・ツイスターの3台、軽7台を設置。これらを向かい合わせに設置することでスペースを有効活用しつつ、ご利用者様同士、お話ししながらトレーニングできる環境と、次のマシン・機器へスムーズに移動できる導線環境を整えました。

「皆さん、おしゃべりを楽しみながら和気あいあいとトレーニングに励んでおられますよ」と施設様。マシンの配置順も、弊社推奨の下肢トレーニングをスタートとした並びとし、その効果も着実に表れているようです。

リハビリマシン配置のポイントをおさらい!
●ご利用者様たちが輪(=サーキット)となり、楽しくトレーニングできる環境に
●次のマシン・機器への移動導線も重視

最後に

「リハビリマシンの設置スペース、どうしよう?」とお悩みの施設スタッフの方は、『リハビリの目的』『設置できそうな場所の広さ』『マシン・機器の設置順』、この3つをまず決めましょう。これらがクリアになれば、導入すべきリハビリマシン・機器がおのずと決まってきます。

弊社では専門スタッフが上記3点を含めヒアリングを行い、施設様ごとに最適なリハビリマシンの選定・配置をお手伝いいたします。専門家のアドバイスが欲しいという方は、ぜひお気軽にご相談ください!






江崎健太郎の画像

記事執筆:江崎 健太郎

代替医療・予防医療機器の販売メーカー、江崎器械株式会社 代表取締役
2019年より、WCEM(WORLD CONFERENCE ON EXERCISE MEDICINE:世界運動療法学会)外部委員を務める。
EXERCISE & AGEING分野のスピーカーとして講演を行なう。

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