2018/05/08

どう評価すべき?身体機能の改善。すぐできる『簡単!リハビリ(機能訓練)評価・計測方法』
その他

介護施設・高齢者施設の皆さん、突然ですが、ご利用者の身体機能改善をどう評価・計測していますか?

機能訓練を提供している施設・事業者にとっては個別機能訓練加算の観点からも、リハビリによって利用者の身体機能が改善しているかを正しく評価する必要がありますよね。

今回は、機能訓練の評価に使用できるリハビリマシンの紹介をはじめ、計測機能がないマシン・機器を使用している場合、そもそもマシン・機器を使用されていない場合などさまざまなケースに対応できる身体機能の改善評価・計測の方法をまとめてご紹介します。「うちってキチンと評価・計測できているのかな?」と気になった方こそ必見です!

高齢者に多い“転倒予防”と“歩行維持”にフォーカスした評価・測定

特に高齢の皆さんは「転倒による骨折から寝たきりに…」というパターンが多いため、リハビリ(機能訓練)の目的は“転倒予防”と“歩行の維持”がメインではないでしょうか?


この点をふまえ、わが社では次のテストと機器をおすすめしています。

テスト①:日常動作のチェックに最適!『5回の立ち上がりテスト(5STS)』

太ももの前面にある大腿四頭筋のテストに役立ちます。
大腿四頭筋は人の体の中でも大きな筋肉で、膝を伸ばす、脚を付け根から前に振るといった動作に影響する筋肉です。

このテストは、椅子からの立ち上がり動作や靴を履くときの動作、洋式トイレに座っている姿勢から立ち上がる動作など、高齢者の“日常生活動作”の改善の目安として取り組みやすくおすすめです。

[テスト方法]
テスト対象者を40㎝程度の椅子に座らせ5回の立ち上がり時間を計測します。

1.    テスト対象者は椅子に浅く腰掛け、手をそれぞれ左右反対の肩を触るように組みます。


2.    (1)の状態でスタートし、5回目に立ち上がるまでの総時間を測ります。


計測の際、膝の角度が90度より深いと脚への負荷が高くなるため、膝の90度屈曲位を基準にし、変形性の疾患がある場合などは必要に応じて高さを変えてください。

5STSの【基準値】をチェック!

上の表は『5回の立ち上がりテスト(5STS)』の計測サンプルです。
まず、この平均値を目安に現在の体力レベルを分類すると良いでしょう。


ちなみに「この5回立ち上がりテストで14秒以上かかる高齢者は、転倒のリスクが7倍になる」というデータもあります。

テスト対象者が14秒以上かかる場合、特に転倒リスクが高いと考え、大腿四頭筋や中臀筋などを重点的に鍛える機能訓練(リハビリ)を検討してみましょう。


機器ではレッグプレスレッグカールヒップアダクションなどがこれにあたります。

テスト②:バランス感覚を簡易に測る『ファンクショナルリーチテスト(FRT)』

ファンクショナルリーチテストは『FRT』とも呼ばれています。
Pamela Duncanによって1990年、バランス能力を評価する指標として発表されたもので、最近では高齢者の転倒リスクを調べる“簡易バランステスト”として、介護施設や高齢者施設でも広く用いられているようです。

[テスト方法]
上図のように立位で腕を伸ばした状態から、膝を曲げずにそのままできる限り前方へ腕を伸ばしていき、その距離(当初からの差異)を測ります。

1.    テスト対象者は壁に向かい横向きに立ってもらいます。足の幅は対象者が立ちやすい位置で調整してもらいましょう。
このとき、どの程度足を離していたか記録しておくと再現性が高まります。難しい場合は足がくっつかないよう意識しながら、可能な限り近づけてテストしましょう。

2.    壁に近い手を軽く握ります。その握った拳を肩の高さに上げ(※脇が直角になるように意識)拳の位置がどこにあるかチェックしておきます。

3.    2の状態で拳の高さを維持したまま、足を動かさずにできるだけ拳を前方へ伸ばしていきます。

4.    拳が伸びきった位置をチェック。最初のチェック位置と伸びきったチェック位置の差が何cmあるかを測りましょう。(※上写真:赤ラインの差異)

ファンクショナルリーチテスト【基準値】をチェック!

上表はファンクショナルリーチテストの年齢別の基準値です。
ちなみに数値が18.5cm未満の高齢者は、転倒リスクが高いとみます。

ファンクショナルリーチテストは特に大がかりな道具を必要とせず、目印をつけるテープやメジャーがあればすぐに実施できるのが利点です。
施設ご利用者の方々の転倒リスクを気軽にチェックする手法のひとつとして、ぜひ覚えておきましょう。

テスト③:歩く力を確認する『5mの歩行時間』

5mの距離を何秒で歩けるかを測定するテストです。
一般的に「1mを歩くのに1秒以上かかると、横断歩道を渡りきるのが難しくなる」といわれています。
このテストでは5mを歩く速度を図るので、「5秒以内」が一つの目安となります。

ちなみに、歩行訓練で知っておいてもらいたいのは、「歩くことでは筋力の回復は望めない」ということ。


歩く力をつけるには大腿四頭筋を鍛えて最大筋力を高めることが重要です。
そのためには大腿四頭筋のトレーニングに最適なレッグプレスレッグカールといったリハビリマシンの活用やスクワットを行うのも効果的です。

すべてのテストにいえる注意事項としては、「計測する人によって誤差が生じないようにすること」です。これを「再現性」と呼びます。

脚の位置を同じにする、計測する場所を固定する、といった工夫により再現性を高くすることができるので、テストの際にはこの点に注意してください。

テスト④:正確かつ迅速なテストなら『NEC歩行計測システム』

「もっと簡単に短時間で計測を終わらせたい」「再現性を高くしたい」という介護施設・高齢者施設の方には、本格的な計測機器がおすすめです。

上記は、NECが開発した歩行計測システム。
キネクトというセンサーを使用しており、6mの距離があれば簡単に歩行計測が出来るシステムです。

高齢者の日常生活において最も重要な“歩行”にフォーカスした計測が可能で、以下の正しい数値を測ることができます。


【主な計測数値】
●歩行速度
●歩幅
●腕のふり幅
●体幹の安定性
●膝の曲げ角度
  ・・・など


計測も1人あたり1分程度。
短時間で正確な計測ができるため、「計測の業務を効率よく行いたい」という施設には最適なツールといえます。



いかがですか?
皆さんの施設に合いそうなテスト(=計測・評価方法)は見つかりましたか?

介護施設・高齢者施設ごとに利用者の身体状況やレベルは異なるため、この点を踏まえ、施設のニーズにあったテスト(=計測・評価)を選ぶ必要があります。

特に個別機能訓練加算では“評価”が重要なポイントになることは、皆さんご存知の通り。施設にあった正確な計測・評価をキチンと行うことが、事業所自体の評価につながることを今一度意識したいですね。






江崎健太郎の画像

記事執筆:江崎 健太郎

代替医療・予防医療機器の販売メーカー、江崎器械株式会社 代表取締役
2019年より、WCEM(WORLD CONFERENCE ON EXERCISE MEDICINE:世界運動療法学会)外部委員を務める。
EXERCISE & AGEING分野のスピーカーとして講演を行なう。

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