2017/11/08

高齢者の筋トレで意識したい3つのポイント
その他


筋力が衰えて日々の生活に不自由を感じている高齢者の方にとって、『筋トレ(筋力トレーニング)』はとても有効です。
一般的に60代、70代の多くは若いときに比べて筋力が衰えていますが、筋トレを継続することで歩行の改善といったQOL(クオリティオブライフ=生活の質)の向上は十分期待できます。

ここでは、筋トレとはいったい何なのか?高齢者にとってなぜ筋トレが必要なのかを詳しく説明します。

歳をとると筋力は45%も低下

人間の生理機能は加齢とともに変化します。

20歳をピークにどんどん低下。普段活動的に過ごしている方でも20歳を過ぎると「1年で1%ずつ筋力は低下」します。高齢者になった時点で私たちの筋力は、20歳の時と比べると約45%も落ちていることになるのです。

入院などで安静にした場合もしかり。
筋力低下は加速され、1週間で約10~20%程度の筋力が落ちるといわれています。

皆さんご存知の通り、基礎代謝は私たちが生きていくうえで必要な消費カロリーですが、一般的に基礎代謝が高い人ほど筋肉量は多く、逆に基礎代謝が低い人は筋肉量も少ないもの。安静にいつもじっとしていると体はその環境に適応し、消費カロリーをどんどん抑え、徐々に筋肉と基礎代謝を低下させていくのです。

この場合、骨密度の低下も同時に起こりがち。
骨密度も筋肉量と比例することから、「高齢者が一時期入院すると、グッと体力が落ちる」といわれるのは、このあたりにあります。


安静は体に毒?
高齢者施設の中では「トイレに立つのも億劫だ」と水分補給を控える高齢者の方も多く、中には1日中座った状態で過ごされる方も珍しくありません。
これでは実際に入院していなくても、体の状態は同じこと。年中“安静”にしているようなものです。

特に女性は歳を重ねる段階で注意が必要です。
閉経後に女性ホルモンが減少することで骨粗しょう症になる可能性を認識し、運動不足の方は早めに筋力づくりに励むことが重要です。

年老いてからでも筋肉は鍛えられる!

人間の生理機能は20歳を過ぎると衰えると書きましたが、筋肉は唯一、人間の体の中で年齢に関係なく鍛えることができる器官。「筋肉は何歳になっても鍛えることができる」のです。
高齢者に筋トレが有効といわれるのは、このためです。

動かさなければどんどん退化する筋力ですが、逆にいうと、動かした分はきちんと筋力になります。

 
上の写真はマラソンの様子。

マラソンは見ている分には淡々としたスポーツに感じるかもしれませんが、筋持久力を要するハードなスポーツです。

マラソンランナーが着地する際、足へかかる負荷は体重の3、4倍ともいわれています。そんな過酷な負荷に耐えながら数時間走り続けているのです。

マラソンランナーは長時間の運動を持続させるため、瞬発的な筋力でなく酸素供給を増やして筋肉がつかれないように適応しています。


しかし、一方でマラソン選手にはウエイトリフティング選手ほどの筋肉の太さはありません。持久力が高いため、筋肉は逆に細いのです。

皆さんご存知、ボディービルダーの体は筋肉が大きく発達しています。これは、高重量の負荷を一気にかけるトレーニングを積み重ねた結果です。


高齢者の筋トレにも、これは通じます。

高齢者にとって必要なトレーニングは“弱った筋肉を強くする運動”、すなわち高負荷の運動が適しているのです。

余談ですが、施設の方に「運動していますか?」と伺うと「ウォーキングをしています」と答える方が多くいらっしゃいます。しかし、残念ながらウォーキングで筋力が強くなることはまずありません。

例えば、石器時代の人類を思い起こしてみてください。
狩りをするために数10km歩くことを考えた時、それが効率の悪いものであれば獲物をとる前に余計なエネルギーを消費してしまいます。出来るだけ筋肉を使わずに関節と腱で歩くと考えるほうが自然なのです。

その頃から人間の体の構造はさほど変わっていません。
つまり歩行が困難という方は“筋肉をほとんど使わない運動すらできていない状態”にあるということになります。

ここに注意!高齢者の筋トレ 3つのポイント

しかし高齢者に対してやみくもに高負荷がかかる運動をおすすめしているわけではありません。
高齢者の筋トレで肝要なのは、「自立した生活を維持する」こと。
つまり“歩行”を維持することが重要です。

以下に高齢者の筋トレで意識したい3つのポイントをご紹介します。


●個人の筋力に合わせた無理のないスタートから
「高負荷が筋力を作る」とはいえ、力の弱い高齢者に無理をさせるのは危険です。力の弱い方には軽い負荷で、力のある方にはその力に応じた負荷と、まずは無理のないかたちで安全にトレーニングの継続を目指しましょう。


●トレーニングになれたら筋力づくりを意識
軽い負荷しかかからないトレーニングをどれだけ続けても筋肉は鍛えられません。高齢者がトレーニングに慣れた頃を見計らって、本格的な筋トレメニューへと移行しましょう。
高齢者それぞれに合わせた負荷量を段階的に変えていくことで、効果が見込めるプログラムを目指しましょう。


●足を中心に鍛えよう
高齢者の筋トレは、足(下肢)を中心に鍛えると良いでしょう。
特に人間の筋肉の中で一番大きい『大腿四頭筋』を鍛えることで、歩く力を大きく改善することができます。

マシンを使う場合はレッグプレスレッグカールを使用することで大腿四頭筋を効果的に鍛えることができます。出来るだけ筋肉の緊張状態を保ち、回数は意識せず筋肉がつかれるまでやることが重要です。

 



高齢者は筋肉痛になると、筋トレ自体をやめたがります。
まずは高齢者自身に「筋肉痛を心配せず、安心して筋トレを続けられる」と実感してもらうこと。そのためのトレーニング環境と継続できるプログラムを、施設サイドやスタッフらが準備することが肝要です。

では、また!






江崎健太郎の画像

記事執筆:江崎 健太郎

代替医療・予防医療機器の販売メーカー、江崎器械株式会社 代表取締役
2019年より、WCEM(WORLD CONFERENCE ON EXERCISE MEDICINE:世界運動療法学会)外部委員を務める。
EXERCISE & AGEING分野のスピーカーとして講演を行なう。

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